2025.06.05
【暮らしの動線と居場所を重ねたLDKの工夫】-6⃣
連載している「貝ヶ森の家」第6回目は「暮らしの動線と居場所を重ねたLDKの工夫」についてご紹介します。
ひとつながりの空間の中に、用途と居心地を自然に住み分けたLDK。
この住まいでは、限られた面積のなかに、収納や作業、くつろぎといった要素を過不足なく組み込む工夫を重ねています。
写真左手に見えるのは、小上がりの畳スペース。
ここは床を一段上げることで、座る・寝転ぶといった床座の暮らしを受け止める居場所となると同時に、下部を引き出し収納として有効活用しています。
季節ものやおもちゃ、生活用品などがすっきり収まることで、空間が整いやすく、暮らしも軽やかになることを望みます。
さらに奥には、壁際に沿ってカウンターを設けたワークスペース。
ハイサイドサッシからは自然光が柔らかく入り、視線を遮りながらも明るさはしっかり確保しています。
家事の合間のデスクワークやお子さんの勉強スペースとして、用途に応じて使える設えとしました。
また、空間のノイズになりやすいエアコンは、お施主様のご要望により建築的に目立たない位置へと納めています。
梁と壁の接点に沿って納めることで、天井面から自然に切り離されるような配置とし、視界の中で存在感を抑えています。
結果として、天井まわりがすっきりと整い、空間全体がより端正な印象に仕上がっています。
素材や色調はナチュラルトーンで統一し、時間帯によって表情が変わるよう、光の取り込みにも工夫を凝らしています。
「居場所」と「機能」を重ねながら、暮らしの動きと静けさを共存させる、そんなLDKのあり方を目指しました。(伯望)